七瀬ふたたび(心が読めなくて良かった)
私が「七瀬ふたたび」を知ったのは1979(昭和54)年の春頃でした。
父の書棚にあった雑誌を読んでいたら、その中に「七瀬ふたたび」の小説が載っていたのです。
読んでみて、あまりの面白さに驚愕しました。
ぜひ、他にもこのシリーズを読んでみたいと思いました。
雑誌をよく見ると、どうやら「家族八景」という同じ主人公の火田七瀬が登場する本が出ているらしいことを知りました。
翌日書店を探したら、実にあっさり「家族八景」と「七瀬ふたたび」の文庫本を見つけることができ、私は速攻で買って帰ってむさぼるように読んだものです。
そうしたら夏頃、ちょうどいいタイミングでなんと「七瀬ふたたび」がNHKでドラマ化されることになりました。
主演は多岐川裕美さん。
小説中でものすごい美人と表現されている火田七瀬をいったい誰が演じるのかと思いましたが、多岐川裕美さんのルックスを見て、
「これなら文句ないな」
と生意気にも15歳の私は思ったものです。
さすがにNHKで夕方6時からやっていたので、性的な描写や残酷な描写はほとんどありませんでした。
それでも内容は面白く、一緒に見ていた両親もやはり面白いと言っていたので、私は
「原作本を持っているよ」
と両親に本を貸しました。
やはり本の方がドラマよりも数倍面白かったようで、
「人の心が読めたらこわいよね」
と親と話したものです。
ちなみに父は雑誌で「七瀬ふたたび」読んでいるはずなんですけどね。
読んでいないのか、読んだけど忘れているのかのどちらかだったのでしょう。
私だったら、あれ読んだら絶対他のシリーズ読みたいのだけれど、「家族八景」買ってなかったということは、父はそうでもなかったのですね。
同じころ「ウルトラセブン」の「明日を捜せ」の再放送を私が見た時、たまたま母も横で一緒に見ていました。
やはり、
「超能力なんて無い方がいいね」
と話をしたものでした。
後年、3部作の完結編の「エディプスの恋人」を読みましたが、残念ながらこちらに1作目2作目のような面白さを私は感じることができませんでした。
この時も父に本を貸しましたが、
「前のより落ちるね」
と父も辛口のコメントでした。