キカイダー01(イチローさん、動いて!)
小学館の学習雑誌「小学四年生」1973(昭和48)年6月号から翌年3月号まで連載された土山よしき先生の「キカイダー01」は抜群に面白かったと記憶しています。
現在に至るまで単行本収録はされていないようですが、ネットではページのショットをいくつか見ることができます。
私の記憶を頼りに復元すると、次のようなストーリー展開でした。
国会図書館で当時の「小学四年生」を確認すれば正確なのでしょうけれど、それをしていないので私の曖昧な記憶を元にした記述です。
●6月号「僕は誰だろう? どうして仁王像の中から出てきたんだろう」
と、ぶつぶつ言いながら歩いているイチロー。
イチローは、リエコと、彼女に手を引かれているアキラと、道ですれ違います。
アキラも
「この人なんなんだろう?」
といった感じでイチローを見上げます。
ラストページでイチローは01に変身。
イチローが、
「そうだ僕はキカイダー01だったんだ」
みたいな台詞を言っていたように思います。
●7月号
ハカイダーを一蹴する01。
「おのれ01! オマエの頭に太陽電池があるのを見たぞ。それがオマエの弱点だな」
と言うハカイダー。
一瞬にして太陽電池見つけるなんて、ハカイダーは目がいいなあと思いました。
そもそも、01の頭部が透明とはいえ、どの部品が太陽電池なのかも読者には分かりません。
土山先生も他の石森プロのマンガ家さんも、そのあたりは
「これが太陽電池」
と、描き分けて明示していませんでしたし。
ギルの幻影を見せ、アキラを誘惑するハカイダー。
しかし、01に見破られ、またもハカイダーは敗北します。
ラストページは、
「ハカイダーも大したことないな」
「いよいよ我々シャドウの出番だ」
とつぶやく、帽子をかぶった謎の男2人の会話。
毎回、ラストページの、次号への“引き”が見事なんですよね。
●8月号
土山版のハカイダーはよく歯をくいしばります。
口の中に、「+++++」というように、プラス記号がたくさん描かれているんですよね。
これは他の石森プロのマンガ家さんには無かった特徴だったように思います。
私はこれがけっこう気に入っていて、よくマネして描いていました(^^) ハカイダー四人衆合体によるガッタイダーが登場しますが、01は、パワーがある分動きが遅いという弱点を見抜き、ガッタイダーを倒します。
そこへ、シャドウナイトが登場。
ピンチの01をハカイダーが救ったのでしょう。
ラストページは、シャドウナイトの目から
「このポンコツが!」
と破壊光線を胸に浴びせられるハカイダーでした。
ああ、ハカイダーの運命やいかに?
●9月号
ハカイダーの修理をしてやるイチロー。
ハカイダーの手引きででしょうか、イチローはシャドウの基地に潜入し、動き出す前の巨大遮光器土偶型最終兵器「ジャイアントデビル」を破壊します。
ですが、ジャイアントデビルは頭部だけ無事。
ダブルマシンで基地から脱出中の01に背後から迫ります。
驚いた01が、
「おおっ、なんだあいつは?」
と叫んでいました。
●10月号
辛くも01はジャイアントデビルの頭部に勝利を収めますが左腕(右腕? 石ノ森章太郎先生の萬画では01が失ったのは右腕でしたが)を失います。
そこへ登場したのはザダム。
双頭で4本足のザダムのデザインは強烈なインパクトでした。
●11月号
冒頭から登場しているザダムの足が3本足に変更されているのにまず気づきました。
子ども心に、ちょっとザダムがパワーダウンした印象を受けました。
ネットで調べてみたところ、テレビ版の着ぐるは4本足でしたから、テレビ版に合わせての変更というわけではなかったようです。
1本少ない方が、いろいろな意味で描くの楽だったのでしょうかね。
ウルトラ怪獣のペスターみたいに、人が横に2人並んで中に入る着ぐるみです。
イチローとリエコは捕らえられます。
機能停止したイチローの修理を試みるリエコ。
しかし、部品が足りません。
「どうしても部品が足りなければ、私の……」
と、リエコは自分の左腕を右手でおさえます。
ストーリーは流れ、ザダムにイチローを修理していることがばれてしまいます。
リエコは
「イチローさん、動いて!」
と叫びながら右手でイチローのスイッチを入れます。
この時、リエコの左腕はだらんとたれ下がったままです。
怒ったザダムから破壊光線を浴びせられリエコは黒こげに。
覚醒したイチローは01にチェンジしてザダムを撃破。
実はアンドロイドだったリエコが、自らの左腕の部品を使ってイチローをなおしてくれたことをイチローは(読者も)知るのでした。
リエコが可哀そう過ぎます。
●12月号
ビジンダーの人間体マリが登場らしいです。
12月号のストーリーを全く覚えていません。
●1月号
1月号から残念なことに急にページが減ります。
マリから変身したビジンダーが登場。
戦いの中でも、アキラへの配慮を見せるビジンダーの姿に、
「もしや」
と01はビジンダーの胸をさっと開きます。
そして、見つけて言います。
「やはり良心回路が付いている」
と。
「でも、こんな小さな良心回路ではシャドウの命令に逆らえないのよ」
と嘆くビジンダーに対し、01は
「僕が良心回路を強くしてあげるよ」
と言い、ビジンダーは01と共にシャドウと戦う仲間となるのでした。
●2月号
ワルダーが登場します。
石ノ森章太郎先生の萬画では何の変哲も無いシンプルなデザインでしたが、土山版ではテレビと同じデザインでした。
しかも実写テレビ版での重たそうで動きの鈍そうな着ぐるみは違う、だんぜんスマートなフォルムでスピーディーに動いていました。
テレビ版よりだんぜんスマートでスピーディーといえば、「ザ・ウルトラマン」で内山まもる先生が描いた、ジャッカル大魔王と戦うウルトラマンキングもそうでした。
●3月号
戦いの中でハカイダーが正気に戻り、ギルの記憶を取り戻します。
そして、
「01、アキラを頼むぞ」
と言い残し、シャドウの親玉に特攻をかけます。
その姿に、
「パパだ! あれはパパだよ!」
と涙ながらに叫ぶアキラ。
ハカイダーの特攻によりシャドウは滅んだのでした。
いかがでしたでしょう?
47年前に読んだきりで、その後見返す機会が全く無い作品でしたが、いまだにこれぐらい私の頭に残っているのです。
繰り返しますが、記憶だけで書いていますので、上記には間違いもあると思います。
生きている内に国会図書館に行って、読み返してきましょうかね。